食事編
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五感を刺激して楽しく食べよう
食育とは生きる基本を学ぶこと
子どもにとって「食べる」ことは、単に身体を成長させるだけのことではありません。
「食育」とは「食べる」ことを通して、- 感謝の気持ちをもつ
- 健康的な食事を学ぶ
- 食事のマナーを知る
- 食べ物の産地や歴史の食文化を知る
五感すべてで楽しい食事を
食事は舌だけで味わうのではなく、「五感」をフル回転してより楽しく食べることができるといいですね。視覚:色あざやかな食事環境を食材や料理のあざやかな色について大人が言葉を添えてあげたり、食卓を整えてあげましょう。◆食材の色・料理の色「真っ赤なトマトだね」
「パプリカは赤や黄色やオレンジ色があるんだね」
「ナスは濃い紫色をしていてピカピカ光っているね」
「アジは背中が青くてお腹の方が白いね」
「サケの身はきれいなサーモンピンク!」
「オムライスは黄色いたまごのお洋服を着ているみたいね」
「お赤飯はご飯がピンク色だね!」
「宝石箱みたいにいろんな色があるお弁当だね」◆食材の形・料理の形「大根とゴボウは細長いね」
「こっちのサツマイモは太いけど、こっちは細いね」
「ピーマンを切るとお花のかたちだよ!」
「オクラを切るとお星様みたい」
「サンマは細くてスマート!」
「三角のサンドウィッチ、とんがっている!」
「丸いホットケーキ、ふわふわ!」
「四角いトーストどこから食べようかな?」
「ドーナツの丸い穴から覗いちゃお!」
「いろいろな形のクッキー!(型抜きで作る)」◆盛り付け・食器- できるだけ赤・緑・黄の色がある盛り付けにする
- 野菜を星型・花形にくり抜いたり、目鼻口にして「顔」のように盛り付ける
- 子どもと一緒に盛り付ける(お手伝いをしてもらう)
- 子どもの好きな食器を使ったり、食器の素材を変える(陶器・木・ガラス・紙など)
◆食卓- 子どもの好きなキャラクターのテーブルクロスやランチョンマットを使う
- 「気温」「季節」「行事」「気分」によってテーブルクロスやランチョンマットを変える
聴覚:調理の音や食べる音を聞こえるようにテレビやCDの音をOFFにして、料理をしている時の「音」、噛む時の「音」を子どもに聴かせましょう。
生活の中の音を感じさせることは生活感を育てるために非常に大切です。◆料理のときの音- 包丁で食材を刻む音
- 食材を炒める音・煮る音・焼く音
◆噛むときの音「ポリポリ」「コリコリ」「サクサク」
いろんな歯ごたえの食材が入った料理を食べて欲しいですね。触覚:食材を触って持ってみるスーパーで食材を買い物した後、すぐに冷蔵庫に収納せず、ぜひ子どもに触らせてあげましょう。
本物を触ることは、子どもにとって非常に貴重な体験ですし、嬉しいものです。◆野菜・果物の触感-
キャベツ・白菜・レタス
「ザラザラだね、つるつるだね、冷たいね、重いね」 -
ピーマン・なす
「つるつるだね、チクチクするね」 -
にんじん・ゴボウ・きゅうり
「ゴツゴツ・チクチクするね、かたいね」 -
リンゴ・みかん・バナナ・スイカ
「つるつるだね、重いね」 -
メロン
「ゴツゴツしているね、重いね」
◆魚の触感生魚を触るのが苦手な場合は無理をせず、子どもが興味を示したら触らせてあげましょう。
魚の表面をさわり「ウロコ」の感触を楽しんでみましょう。嗅覚:本物のにおいを嗅いでみる嗅覚は刺激をきっかけに何かを連想する、という特徴があります。
お父さん、お母さんの作ってくれたお料理の匂いは生涯を通じて「思い出の匂い」となるはずです。
また自分の嗅覚で本物のにおいを嗅ぐ経験をしていると、賞味期限に頼らずに自分の力で危険を回避することもできます。◆食材の匂い野菜・魚・乳製品・調味料などは、個々に特徴のある匂いがあります。
冷蔵庫にしまう前に親子で「クンクン」とそれぞれの食材の匂いを嗅いでみることをお勧めします。◆料理をする時の匂い危険がないように配慮し、お母さんが料理をしている時の「匂い」を近くで嗅がせてあげましょう。
オムレツの匂い、シチューの匂い、カレーの匂い、ハンバーグの匂い、煮物の匂い、ご飯が炊ける匂い、味噌汁の匂い…などなど。味覚:いろいろな味を試してみる5つの味覚をいろいろ味わってみましょう。
子どもにとって苦手な味もありますが「甘み=おいしい」だけの味覚でひっくるめないようにしましょう。◆甘味虫歯が気になり甘いものをまったく与えない親もいるそうですが、子どもは甘いデザートやおやつが大好きですね。
甘みの強いものを避け、食後によく歯磨きをするようにして、いろいろな味を体験しましょう。◆塩味スナック菓子のようにしょっぱい味がしっかりついているものを食べ慣れてしまうのは心配です。
塩分を摂り過ぎないようにしながら、どんな食べ物がしょっぱいのか、親子で味を確かめてみましょう。◆酸味「すっぱい顔」を親子でオーバーに表現してみると面白いです。
(どんちゃかのすくすくコースでレモンを味わう授業があります。子どもは案外すっぱい味が好きですよ。)◆うま味うま味であるグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸は昆布やしいたけ、トマト、チーズ、肉や魚の赤身に含まれます。
まずは、出汁たっぷりのお味噌汁などでうま味を味わってみましょう。※にが味⇒幼児期は無理して食べさせなくてよいです。 -
食べ物をグチャグチャにしてしまう
食事の時、食べ物をグチャグチャにしてしまい、困っているとよく相談を受けます。
グチャグチャにする場合には二通りあります。■自分で食べたい気持ちがある
大人はどうしても汚れるからと手を出したり、食べさせたりしてしまいがちですが、いつまでも食べさせてあげていては「自立の芽」が育ちません。
自分で食べたがっている様子がみられたら、それは成長の証なので、むしろ大人は賛助してあげましょう。
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少々汚れても良いように準備して、叱らないで済む環境にする
- 食事の前にあらかじめテーブルの下にビニールを敷く
- ビニールのエプロンをかける
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道具は成長に合わせたものを用意する
- 手を使っても大丈夫なように、食事の前に良く手を洗う
- フォーク・スプーンは子どもが好きなもの・使いやすいものから使う
道具は使えば使うほど上手になるので、こぼしても積極的に使わせてあげましょう。
繰り返し使っていくうちにこぼさないで食べられるようになってきます。楽しみに待っていてくださいね。
■食べながら遊んでしまう
食べずに遊んでしまうときは、ほとんどの場合、おなかがいっぱいだからです。
食べたい様子がなければ、早めに「ごちそうさま」をして片づけましょう。
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テーブルの前に15~20分位着席していて食べずに遊んでいる
「せっかく作ったのに」という思いがあり残さず食べてほしいですが、おいしく食べられる時間はまたすぐにくるので、すぐに片づけるようにしましょう。 -
食べ物をおもちゃにして遊んでしまう
食べ物の感触はいつものおもちゃと違うので、遊ぶことがクセになってしまうこともあります。食べ物は遊ぶものではありません、と繰り返し教え、この場合もすぐに片づけるようにしましょう。 -
食事に集中できない
お父さん・お母さんもゆっくり食事ができていますか?食事をする子どもの目の前で大人が動き回っていると子どもが食事に集中できません。ひとりで食べていると、つまらなくなって遊びだしてしまう場合もあります。子どもと一緒に食べて、おいしいねと会話しながら食事の時間を楽しんでくださいね。
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少々汚れても良いように準備して、叱らないで済む環境にする
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離乳食
離乳食を始める前に
①離乳とは? ・固形食に慣れるようにすること。 ・お乳を止めることではない。 ・いろいろな味覚を知る。 ・スプーンや箸で食べることを学ぶ。 ・噛んだり、飲み込む練習。 ・お乳だけの栄養不足の補給。 ②いつ頃から? ・大人の食事を欲しそうに見ている ・口をモグモグしている ・よだれが多くなった ・体重が6~7kgになった「4~5ヶ月」が目安 ・母乳、ミルクが足りなかったら「4ヶ月」から ・嫌がるときは一週間くらい空ける離乳の準備
①スプーンの稽古 ・果汁やみそ汁の上澄みをスプーンで飲ませる ②授乳時間は規則的に ・「空腹のリズム」ができていないと離乳食がスムースにいかなくなる離乳食を作る時の注意
①調理器具器具や手を清潔に ②味付けは薄め ③温度は熱すぎず、冷たすぎずむら食い
離乳食の食べ始めは一定ではない ・生理的なもの ・運動をさせる ・食事の間隔を空けるⅠ.準備期
*食べたがったら楽しく離乳食を始めましょう ①果汁 ・白湯で薄めて1さじから。1日50cc ・りんご(すりおろしで) ・みかん(絞り器で) ・メロン、すいか、もも、いちご(スプーンでつぶして) *ガーゼに包んで絞る *茶こしでこす ②野菜スープ 果汁に慣れたら1日20~30ccぐらいから始める 野菜スープの作り方 1)キャベツ、玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、トマトなどをざく切りにする 2)弱火にかけ、あくを取る 3)30~40分煮る 4)スープを茶こしでこす ③みそ汁の上澄み 果汁に慣れたら1日20~30ccぐらいから始める 1)だしは昆布、かつお節でとる 2)肉、油揚げは入れない 3)みそを沈める 4)上澄みをすくう 5)湯で2~3倍Ⅱに薄めるⅡ.中期(6~8ヶ月)
*つぶつぶにして食べやすく ①1日2回食。 ②舌でつぶせる固さ。 ③栄養バランスをよくする。 ④赤ちゃんの好みも出てくるので調理に工夫を。 ⑤味付けは大人が美味しいと思うくらいの「薄味」に。 中期の1回の分量 少しずつ増やしていくのがコツです。おかゆ 子どもの茶わんに軽く1/2杯→6分目 卵 黄身1個→全卵1/2個 刻んだ野菜 小さじ4~5 バター、チーズ、油類 小さじ2/3~1弱 スープ 野菜、鶏ガラスープは製氷皿で凍らせる ミートソース 二度びきしたひき肉+玉ねぎ、にんじん、みじん切り+トマト、ケチャップで調味。 1回分ずつラップ。冷凍保存。 ほうれん草、大根、にんじん、じゃがいも 茹でて小分け冷凍保存。 後期(9~10ヶ月)
*固形から幼児食へ ①1日3回食へ。 ②固形に近づける。 ③食品の種類を増やす。 ④メニューを豊富に。 中期の1回の分量 少しずつ固くするのがコツです。おかゆ 子どもの茶わん8分目 パン ミミを除いた8枚切り1枚 軟飯 子どもの茶わん8分目 卵 全卵2/3個~1個 刻んだ野菜 小さじ6~大さじ2 バター、チーズ、油類 小さじ1~1日小さじ3 おかゆ 子どもの茶わん8分目 パン ミミを除いた8枚切り1枚 軟飯 子どもの茶わん8分目 卵 全卵2/3個~1個 刻んだ野菜 小さじ6~大さじ2 バター、チーズ、油類 小さじ1~1日小さじ3 完了期(11~12ヶ月)
*大人の献立の食品は、何でも食べられる *必要エネルギー3/4を離乳食。 *1/4をミルク 【離乳食の例】時期 料理名 作り方 前期 フレークがゆ ・ベビーフードのフレークがゆ大さじ1 ・湯、薄いスープ、温めた牛乳 1.5倍の割合で溶く パンがゆ ・パン(ミミなし、8枚切り)1/5枚 ・牛乳 小さじ4 ・ベビーフードのフルーツ1/4 ①パンを細かくほぐす ②ドロドロになるまで煮る つぶしがゆ ・ご飯 ・倍量の水 ・チーズのすりおろし小さじ2 ①弱火で15煮る ②つぶす 白身魚の煮つぶし ①骨と皮をといり除く ②薄味で煮る ③スプーンでつぶす 卵黄のすりつぶし ①固ゆでのたまごの黄身にスープを加える ②ベトベトになるまでつぶす 豆腐のくず煮 ・豆腐1/10丁 ・だし汁 ・水溶きかたくり粉 ①煮だし汁に豆腐をつぶしながら入れる ②ひと煮立ちしたら水溶き片栗粉を入れる りんごのヨーグルトあえ ・りんご ・ヨーグルト すりおろしたりんごとヨーグルトをあえる かぼちゃのマッシュ ・大人用かぼちゃの含め煮 ①薄めた煮汁 ②スプーンの背でつぶす 野菜の煮つぶし ・野菜・だし ①野菜を乱切りにする ②だしで煮る ③薄味をつける ④裏ごしをする 中期 パンの牛乳浸し ・食パン(8枚切り2/3枚) ・温めた牛乳(50っc) 牛乳の中に浸す 野菜スープ ・野菜・塩 ①小さく刻んで、よく煮込む ②塩少々で味付けをする 煮こみうどん ・うどん、ひやむぎ ・だし汁 ・塩 ・醤油 ・ねぎ ①うどん、ひやむぎを細かく切る ②だし汁を煮て、塩、醤油で味付け ③ねぎのみじん切りを散らす マカロニのミートソース ・鶏ひき肉 ・玉ねぎ ・トマト ・粉チーズ ①鶏ひき肉、玉ねぎみじん切りを炒める ②トマトのみじん切り、ケチャップで味付け ③柔らかくゆでたマカロニソースをかける ④粉チーズをかける コーンスープ ・コーンクリーム缶詰 ・牛乳 ①コーンクリーム缶詰をすり鉢でする ②牛乳を加え温める かやくうどん ・うどん ・にんじん ・鶏ささみ ・卵 ・ほうれん草 ・だし汁 ①野菜をゆで、細かく刻む ②うどんをだし汁で煮る ③①の具をのせる さつまいもがゆ ・米 ・さつまいも ①さつまいもを小さく刻む ②米+さつまいも ③おかゆを炊く 茶わん蒸し *消化の良いものだけを取り分ける 【その他】納豆(細かく刻む)・オムレツ・お粥 後期 ツナサラダ ・きゅうり ・ツナ ①きゅうりの種をとり除いて、みじん切り ②ツナをほぐしてあえる スパゲッティ パスタを柔らかく煮てミートソースをかける 煮りんご ・りんご ・砂糖 ・バター ①りんごを輪切り、皮をむく、芯を取る ②沸騰したお湯+砂糖 ③汁気がなくなるまで煮こむ ④汁気がなくなったらバターを落とす 二色丼 ・ご飯 ・炒り卵 ・でんぶ ご飯に炒り卵、でんぶをのせる みそ汁 取り分けみそ汁を赤ちゃん用の味付けにする 水ぎょうざ ・キャベツ(葉1/4枚) ・豚ひき肉(小さじ4) ・ぎょうざの皮 ・ニラ ①キャベツ、ニラをみじん切りにする ②キャベツを塩もみする ③肉、キャベツ、ニラを餃子の皮で包む ④煮立てたスープに入れる 【その他】・オムライス・トースト・バナナ・白身魚のムニエル