しつけ編
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「おわり」のできる子
「終わる」のは難しい
子どもが大好きなおもちゃで遊びだすと遊びに夢中になってしまいます。「おわり」は【けじめのしつけ】として生活の中でとても大切です。
遊びが楽しさの頂点になった頃に、「食事ですよ!」や「お風呂に入りますよ!」などと声がかかると、子どもは途中で遊びを止めることができません。
親は子どもが言うことを聞かないのでつい、「早く片付けて!お風呂に入るわよ!」と大きな声を出してしまい、子どもが泣き出してしまう・・・。
でも大丈夫です。時間はかかるかもしれませんが、上手に終わりにする習慣を身につけていきましょう。
「おしまい」の習慣の身につけ方とは?
「キーワード」を使う
- 絵本を読み終わったら「おーしまい!」と声に出して親子で一緒に言い、本を閉じる。
- テレビが終わったら「おーしまい!」「おーわり!」と一緒に声に出して言う。
- 「遊んだあとはおかたづけ!おーしまい!」を毎回親子で一緒に言いながらおもちゃを片付ける。
自分でおしまいにする
子ども自身が自分で「おーしまい!」と言いながら、テレビやスマホの「OFF」のスイッチを押す。ルール・約束を作る
子どもの大好きなお気に入りの遊びが始まると、親は子どもが「遊び続けるだろう…」と予想がつくので、遊ぶ前に「約束」をしておく。- 「時計の針がここまで(3のところまで)きたら、おしまいにしましょうね。お約束!」
- 「お風呂の時間ですよー、って言ったらおしまいにしようね。お約束!」
そして大切なことは、その約束を絶対守らせること、例外は作らないこと。
「今度だけよ」「1回だけよ」などは子どもが混乱するので、例外は作らないようにする。「おわり」「おしまい」ができたら褒める
約束が守れて終了できたら「えらいね!○○ちゃんはおしまいができたね。お約束が守れたね」と必ず褒めて、気持ちよくおしまいにする経験を重ねる。
「おしまい」ができると気持ちのコントロールができ、親子関係も良くなる
「おわり」は1度だけではなかなかクリアできません。
何度も何度も繰り返して理解させていきましょう。
子どもの「気持ちのコントロール」ができるようになると、〈親子の戦い〉がなくなり、普段の親子間の関係も良くなりますよ。 -
子どものしかり方
しかること
子どもにはしてはいけない事を教える必要があります。
ときには理屈ではわからないこともあるので「しかる」ということで教えます。怒ると叱るは違う- 感情的になり、自分のイライラをぶつける言動を「怒る」といいます。
- 「叱る」とは相手を正しく導くために、注意したりアドバイスしたりすることをいいます。
昨日は大丈夫だったのに、今日は親の機嫌が悪くて怒られた、などということがあると、子どもは混乱して何をしていいのか分からなくなります。
理由もわからず感情的に怒鳴られたり、理不尽に否定されたりすると、大人に対しておびえるようになり、考えることをやめてしまいます。
「怒る」ことは子どもにとって、決して良いことではありません。
子どもは正しく「叱って」ください。子どもの叱り方
子どもを叱らなければいけないときは、落ち着いた態度で、言葉に感情を乗せず、きちんと理由も一緒に、あいまいではなく具体的にいけないことを伝えます。叱るときはこんなとき危険 ・社会のなかでいけないこと ・家庭の方針に反していること子どもが行動してしまってから「これは叱るところだろうか」と考えていては間に合いません。
できれば、子どもの成長の少し前に、家庭で大切にすることを両親で一致しておくと良いでしょう。
たとえば次のようなときはしっかりと叱り、今度はどうしたらいいかをきちんと伝えましょう。-
突然道に飛び出してしまう
子どもが危険な行動をとってしまったときは、迷わず大きな声で制止してください。
そして絶対にしてはいけないこと、なぜだめなのかの理由を伝え、二度としないことを約束し、次はどのように行動するかを分かりやすく伝えます。
必要であれば、道路に出る前に止まって安全確認する、ということを親子で練習しましょう。 -
人のものを取ってしまう
人のものを取ってしまうことはいけないと、繰り返し伝えます。
相手の立場に立って、自分が取られたら嫌だよね?と理由もわかるように伝えましょう。
お友だちのおもちゃなら、貸してほしいという気持ちを伝える方法を教えたり、お店の売り物なら、勝手に取ってはいけないこと、大人に相談することを教えましょう。 -
嘘をつく
子どもの言うことが嘘だと分かっていても、本当のことを言うまで追及することが必ずしも正しい対処法ではないこともあります。
ただ、嘘をつくのはやめようとご家庭で決めていたら、それを子どもに常に伝え続けることが大切です。
また、子どもが嘘をつかずに済む関係をつくることが最も大切です。
信頼し安心できる親子関係を築く
いくら言っても言うことを聞かない、普通の声量で言葉だけで言い聞かせても直らないなど、大変苦労され、悩んでいるお父さんお母さんもいるかもしれません。
ときには身近な先輩パパママや、幼稚園・保育園の先生に相談しても良いと思います。
反抗期の子どもに対しては、真正面から向き合わない方が良いこともあります。
上手に気を逸らして、やり過ごすことも一つの対処法ですよ。
子どもが親を信頼し、家庭を安心できる場所にするために、「叱る」は大切なコミュニケーションです。
子どもは一度言っただけでは分かってくれないことは普通のことです。
とても根気のいることですが、「どうしていけないのか、どうしたらよかったのか、次はこうしよう」と粘り強く、繰り返し伝えていきましょう。
子どもの気持ちをよく聞いたり、共感して「お父さんお母さんもあなたの気持ちがよく分かる」と伝えることも大切ですね。 -
わが子をほめられますか?
子どものできないところに注目しすぎていませんか
幼稚園・保育園前までの保護者に「どんなお子さんですか」とたずねるとすぐにほめ言葉が返ってきます。「好き嫌いなく良く食べるんです」ところが幼稚園・保育園に行くようになると、親御さんの口からはマイナスな言葉が多くなります。
「良く笑います」「人見知りして人前で話さないんです」どうしてでしょうか?
「のんびり屋でだらだらしていて…」
3歳を過ぎると自我が芽生えるとともにできることも増え、だんだんその子の性格が見えてきます。
また幼稚園や保育園という社会の中に入り、親が他の子どもと比較できるようになるんですね。
比較すればおのずと、よその子の良いところに目が行き、わが子のできないところを並べてしまいがちです。
さらに輪をかけてその時期の子は親の言うことを聞かなくなるので、余計に「困った子」という印象が強くなってしまいますね。
でも、子どもはそれがまさに成長の過程であり「あるがまま」なのです。
なのに親の感じ方が変わってしまうことで、子どもの方が親の態度の変化に戸惑っているのです。「ほめる」ことで良い成長のサイクルを
子どもは絶対的にお父さんお母さんに「ほめて欲しい」ものです。
ほめられれば嬉しくなり、プラスのエネルギーが出てきます。
それは成長しようというエネルギーです。
ほめられることで、がんばった成果があったと確かめられ、またがんばるようになります。
親のほめ言葉は子どもの成長のきっかけでもあり、原動力なのです。効果的なほめ方は「具体的に」
では、やみくもにほめるのではなく、効果的なほめ方を実践してみましょう。- (承認)「すごいね!」「よくできたね!」
- (何が良いのかを明確に)「ご飯の前に一人でお片付けできたね!」
- (なぜ良いのかの理由)「片付いていると気持ちよくご飯食べられるし、すぐにお風呂に入れるよね」「お母さん、早くご飯が食べられて助かったよ」
また、結果ではなくプロセスを認めてあげてください。
できた事柄をほめるのではなく、できるまでがんばったこと、取り組もうと行動したことをほめてあげましょう。
このときに誰かと比べることはしないように注意しましょうね。NG:「○○ちゃんみたいにできたね」「○○ちゃんよりも早かったね」そして第三者に伝えてほめるのも効果的です。
とくに、子どもの良いところはその場にいなかったお父さん・お母さんにも伝えて、子どもの成長をみんなで共有して喜びましょう。
今日から、お子さんを一日1回以上、ほめてあげましょうね。
特に3歳過ぎたら意識的にほめポイントを探して、言葉にして伝えてあげてください。 -
子どものほめ方
できるようになりたい!子どもの成長
人間は今日の自分より明日はもっと大きくなっていたい、変わりたいという欲求があります。
できないことことができたとき、自分の思うように行動できたときなど、子ども自身も嬉しいものです。
それを周りがほめてあげると、そこで完結せずにもっと進歩したいという向上心が芽生えます。
ほめることで脳が活性化し知的発達も向上します。「ほめじょうず」になるには
「ほめじょうず」と言いますが、上手にほめるためには子どもの今の状態を色々な角度で知っていることが大切です。
わが子の「もう少しでできること」がいくつ言えますか?
それは偏ってはいませんか?
幼い子でも自分の今の課題は無意識ながら理解しています。
それを親もわかっていれば、ほめて欲しいときにほめてあげられます。
何をいつほめるかがとても大切だということですね。
また、どんなことをがんばって欲しいのか、ほめることによって大人の期待を伝えることができます。
子どもが何気なく行ったことをほめられ、その行動の重要性を理解するようになるということなんですね。ほめるときは愛情一杯!
ことばをつなげて、ただほめたらそれでいいのでしょうか? いいえ違います。
ほめるときは愛情をいっぱい込めてほめましょう。
ほめるということは愛情の現れでもありますし、子どもにとっては認めてもらえたことによる信頼の気持ちが育っていきます。
それが子どもの情緒安定にも役立ちます。 -
子どもどうしのトラブル
トラブルは子どもの成長の過程 社会性のめばえ
2~3歳頃になると、一緒に遊ぶ友だちにも興味や関心が出てきます。
そのため友だちどうしのトラブル、けんかも起こるようになります。
2~3歳児はまだ気持ちのコントロールができない「自己中心的な年齢」ですから、けんかが発生するのはよくあることですし、当たり前のことと思いましょう。
友だちの存在が気になるのは社会性のめばえであり、成長のあかしなので喜んでよいことですよ。
それでは、けんかやトラブルが起こるときの子どもの内面や、周りの大人の対処の仕方を考えてみましょう。けんかやトラブルになるときの子どもの内面
2~3歳の子どもは友だちに対してこんな風に思っています。- みんなは楽しそうに遊んでいるな
- 友だちが何をして遊んでいるのかな
- 友だちと一緒に遊んでみたいな
- 友だちはどんなおもちゃを持っているのかな
- ぼく(わたし)も友だちと同じおもちゃがほしいな
- ぼく(わたし)がいることに友だちは気がついているのかな
- (順番)一番最初がいいな
- (競争)絶対一番がいいな
けんかはこんな風にして起こる
一緒に仲良く遊びたいのに、なかなか自分から「あそぼう!」と言い出せないのが、2~3歳の頃の特徴です。
自分に関心を寄せてもらうために、友だちをたたいたり、押したりする行動に出てしまいます。
相手の友だちも何でたたかれたり押されたりしたのかわからず怒ってしまい「けんか」が発生します。
また、しばらく仲良く遊んでいても、おもちゃの取り合いが始まる場合があります。
おもちゃは全部自分のものと思い込んでいる年齢であるのと、まだうまく「貸して」と言えずにいきなり友だちのおもちゃを取ってしまってトラブルになります。けんかが起きたときの大人の対処法
けんかが起きたときの子どもの内面はとてもシンプルであることを理解した上で、大人が子どもの気持ちを汲み取りながら対処することがとても大切です。
とりあえずお互いに「ごめんなさい」を言いなさいと強要してその場を取り繕ったり、経緯が分からないまま「○○ちゃんが悪い」と決めつけてしまうことは子どもにとって良くない態度です。
どのような経緯でけんかになったのか、どんな原因があったのか、できるだけ知るようにしてください。
それぞれの子どもの気持ちをよく聞いて、「うん、うん、そうなの、わかったよ」と同意してあげましょう。
それだけでもたいていのけんかは落ち着き、収まります。 こんなけんかはすぐに止めます!- だれかが泣き始めてしまう
- 『一人』対『多数』 のけんか
- 誰かが物(武器)を持っている
友だちをたたいてしまう子どもは たたかれた経験のある子
けんかやトラブルの中で、気に入らないことがあると友だちをたたいてしまう子どももいます。
まだ相手に伝える言葉が豊富ではないので、伝えたいことばの代わりに手が出てしまうのです。
たたくと「気持ちがスッとする」ことや「大人にかまってもらえる」という間違った認知をしてしまうと、やがて「たたくこと」をコミュニケーションの手段にしてしまうようになります。
よくたたいてしまう子はどのような子かというと、「たたかれた経験がある子」です。
例えば…
- 友だち(少し年齢の大きい友だち)にたたかれた経験がある
- 兄弟(特に兄や姉)にたたかれた経験がある
- 親にたたかれた経験がある
子どもをたたくことは「しつけ」とは言いません。
たたくことは手っ取り早く子どもに言うことを聞かせようとする大人の傲慢さです。
子どもをたたくことは今すぐやめましょう。
子どもをきちんとしつけるには、大人が正しい方法を知っている必要があります。
「子どもの叱り方」にも詳しく書いているので、参考にしてくださいね。子が友だちをたたいてしまったときの大人の対処法
子どもが友だちをたたいた時、大人が「たたいてはいけません!」「謝りなさい!」と勢いで叱ってしまいがちです。
子どもはその瞬間、エネルギーをため込んでいたり、頭に血が上っていたりするので、その場ですべて言い聞かせようとするよりは、時間がたって冷静になってから言い聞かせることの方が大事です。たたいてしまったその場では子どもには落ち着いた態度で「たたくことはいけないことである」と伝え、どうしてたたいてしまったのかその理由をよく聞いてあげましょう。
すぐに大きな声で叱りつけるようなことはせず、また痛みを分からせるというつもりで、大人がたたいた側の子を同じようにたたくようなこともしてはいけません。
たたいてしまったことについては、友だちにきちんと謝るよう、促しましょう。時間がたってから、その日のうちにたたいたことすら忘れてしまっているのでは、注意する意味がないので、翌日ではなくその日のうちに、子どもと親が冷静になってから、「たたくことはいけないこと」と教えましょう。
どのように伝えればよいかいくつか例をあげてみます。◆ たたかれたら痛くて悲しいことをしっかり伝える
「○○ちゃんがたたかれたらどんな感じがする?」
「そう、痛いよね」「そう、悲しいよね」
と、相手の子の気持ちを代弁して言葉で言い表して伝えます。
◆ ぬいぐるみに置き換えて理解させる
例えば、絵本やぬいぐるみを使って「たたかれたクマさんは泣いているけれど、どう思う?」と問いかけると、子どもは素直に「かわいそうだね。痛いよね。たたいたらいけないよ。」とわかってくれます。
◆ 普段の会話に友だちの話題や名前をたくさん出す
家庭でお風呂に入っている時、食事をしている時、おやつを食べている時、遊んでいる時、寝る前など、気持ちがリラックスしている場面で、お友達の話題や名前をたくさん出すと友達に親しみを持つようになり、けんかが少なくなります。いやなことを「NO」と言えるように
友だちにおもちゃを「貸して」と言われたとき「どうぞ」ができるのは素晴らしいことです。
ただし、いつもいつも我慢を強いるのは子どもにとってよくありません。
「いや」と言えず、いつもおもちゃを取り上げられてしまう幼稚園・保育園は楽しくなくなってしまいますね。
幼稚園・保育園に入るまでに、意思表示をしっかりできるようにしておくことはとても大切です。
「貸してもいいときは『どうぞ』をして、貸したくないときは『いや』『ちょっとまって』と言おうね」と教えてあげましょう。
どうしても言えないときは、言えるようになるまでお母さんが一緒に言う練習をしても良いですね。自分のもの・他の人のものを区別できるようにする
トラブルを予防するために、自分のものと誰かのものを区別し、理解できるようになることも大切です。
例えば、親の大切なものを子どもに触らせないようにすることで理解させることもできます。
子どもが親の大切なものを触ろうとしたら、「これはお母さんの大事なものだから、貸せないのよ」とNo の意思表示をすることで、子どもが「嫌なときは『いや』と言っていい」と学ぶことができます。
親が大事にしているもの、子どもが大事にしているものについて話をして、勝手に触らないようにしようね、と親子の間の約束をつくっても良いですね。子どもが乱暴な言葉を覚えてしまうときは
「ばか」「うんち」など汚いことば・乱暴なことばを使いたがって困っています。あまり気にしすぎず、その都度、その言葉で傷つく子がいることを教えたり、大人がきれいな言葉を使うことを心がけることが大切です。「なんでそんなことを言うの!」と叱ってもあまり意味はありません。
乱暴なことばは、子どもの成長の過程で必ず通るものです。
聞きなれないことばや面白そうなことばは使ってみたいものなんですね。
そういう言葉を友だち同士の会話の中で使うのが楽しかったり、大人の反応が面白いと感じていたりしているので、強くしかりつけても逆効果です。
ただ、人を傷つけたり、まわりを不愉快にする言葉は、その都度「良くない言葉だよ」と落ち着いた態度で教えてあげましょう。
または、「お母さんはその言葉、あまり好きじゃないな」とその場で伝えたり、周囲に影響がないものはあえて放っておくのがいいでしょう。
そして、ゆっくり話ができる時間に、使って欲しくない言葉とその理由を伝えます。
このときには、絵本やぬいぐるみを使って「その言葉を言われたぬいぐるみのクマちゃんはどんな気持ちがする?」と聞いてあげてください。
言われた人も、周りで聞いている人も、気持ちよく思っていないことも教えましょう。
3歳頃は、いい言葉も悪い言葉も吸収する時期です。
悪い言葉を気にするよりも、お父さん、お母さん自身が素敵なことばを意識して話すことが大切ですよ。
感覚の言葉や、ポジティブな形容詞をいっぱい話してみてください。
「あれ」「これ」ではなく「右の○○を取ってね」と主語と動詞・動作の対象をちゃんと使って文章で話してみてください。
家族同士のあいさつ「おはよう」「ありがとう」「ごめんね」のやりとりを見せていると、子どもも自然と友だち同士いい会話ができるようになってきます。 -
人のものを取って困る
根気よく言い聞かせる
人のものを取る行動は放っておくことはできません。
大人が助言したり、取り合いにならない環境をつくってあげることが大切です。
子どもの気持ちが落ち着いている時に、絵本やぬいぐるみなどを使って、「人のものを取るのは良くないこと」だとじっくり話して教えていきましょう。
「相手が嫌なおもいをしているのだから、気をつけよう」と徐々に自分自身をコントロールする力がついてきます。
それまでになるには少々時間がかかりますが、1年間くらいは気長に構えて向き合ってみてください。
注意したいのは、お友だちといるときに親がまわりを気にしすぎて、我が子ばかりを叱っていると、子どもに弊害がでてきます。
例えば、元気のない子になったり、親の顔色ばかりを見る子になってしまいます。
子どもの行動をよく見て、叱らずに他のもので気を逸らせたり、お友だちと話し合う見本を見せたりして、上手に介入してください。
同じお友だちのものを取る場合
いつも同じお友だちで遊んでいると、取る方と取られる方が決まってくる場合が多いですね。
この場合、取ったり取られたりの「物」があることが問題なのです。
取り合いになってけんかになる予想がたつ場合は、- 「もの」を2つ用意しておく
- 「もの」を使わない遊びをする(おにごっこ・かけっこなど)
どんちゃかでは貸し借りを友だちとスムースにできるようになる魔法のことば(キーワード)があります。
それは「かして」「どうぞ」「ありがとう」です。
最初はお父さんや、お母さんも一緒に言ってあげましょう。
繰り返し繰り返し、使ってみてくださいね。誰のものでも取る場合
これは困りものですね。
何でも人が使っているものが欲しくなって、欲しいのもを手に入れるために、人のものを取ろうとする。
親としては、「静止」しないとお友だちに嫌われてしまうのではないかと心配です。
その場では、「こっちの方がおもしろそう」と気をそらせたり、「○○ちゃんって、名前が書いてあるね」と、他の人のものだと気付かせるのもひとつの方法ではあります。
その上で根本的には、子ども自身が納得していくことが大切です。
自分のものでないものを勝手に取ってはいけません、欲しくなってしまったときは、魔法のことば(キーワード)を言おうね。
「人のものが欲しくなったら、両手をグーにして『ガ・マ・ン!』」
これはどんちゃかの「5つのちから」のひとつ「がまん力」です。
最初は親も一緒に言って、何回も言い続けているうちに、少しづつ自己コントロールがついてきます。 是非やってみてください。 -
お手伝い
子どもの「やってみたい」を大切に
2歳~3歳児は「模倣期」で、大人のやることを見て真似る時期です。
親のやっていることに興味があり、自分もやってみたい気持ちになり「やらせて」と言ってきます。
その時こそ、お手伝いのチャンス!です。
子どもの自主性が芽生え、成長する瞬間を逃さないでください。
「忙しいから、またあとでね」とつい、言ってしまいがちですね。
忙しいときは「じゃあ、明日やってもらおうかな?いい?約束ね」となるべく早いうちにお手伝いの機会を作ってください。
お手伝いができたら「○○ちゃんに手伝ってもらって、本当に助かった。ありがとう」と子どもにしっかり伝えてくださいね。
子どもは親に褒められた満足感と、家族のために役に立てた喜びで、家族の一員であることを自覚します。
「家庭は社会の原点」です。
家庭という小さな社会で役立ちたい気持ちが、子どもの社会性をはぐぐみます。
お手伝いをすることで、段取りが良い子、思いやりのある子、生活力がある子に成長しますよ。
幼児にできるお手伝い
- お料理の手伝い(野菜洗い・皮むき・切る・卵割り・食材をこねる・混ぜる・餃子作り・野菜やクッキーの型抜き・装飾・ホットケーキ作り)《思考力》《手先の巧緻性》《生活力》
- 食事の準備(茶碗、箸並べ・テーブル拭き・盛り付け・ご飯をよそう)《思考力》
- 食事の後片付け(食器を流しまで運ぶ/食器洗い・テーブル拭き)《思考力》
- 洗濯物干し《手先の巧緻性》《生活力》
- 洗濯物の取り入れ《手先の巧緻性》《生活力》
- 洗濯物をたたむ《手先の巧緻性》《生活力》
- 洗濯物をタンスや引き出しにしまう《仲間あつめ》
- ハンカチや靴下など小さなものを洗う《生活力》《手先の巧緻性》
- 玄関の靴を揃える《仲間あつめ》《生活力》
- 新聞取り《生活力》
- おもちゃの片付け《分類・仲間あつめ》《生活力》
- 自分の布団をたたむ《生活力》
- カーテンの開け閉め《生活力》
- 一緒に車洗い《生活力》
- 草花の水やり《思いやり》
- 小動物の餌やり《思いやり》
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友だちとの関わり・噛んだり・たたいたり
噛む・たたくは言葉にならない意思表示
2~3歳になるとお友達への興味がわいてきます。
遊びの中でいろいろなトラブルが発生することも多くなり、親はどのように対処してよいのかと、頭を抱えてしまうこともしばしばです。
◆噛んだりたたいたりするのはなぜ?
まだこの頃は自己中心的で、エネルギーを持て余しています。
気に入らないことがあったり、自分の思うようにならなかったりすると、その意思表示のために、お友だちを噛んだりたたいたりしてしまいます。
これも子どもの「表現方法」のひとつなんですね。言葉で意思を伝えられないときに噛む・たたくお友だちと一緒に遊びたい、だけど、思っていることを言葉にできない、というのが2~3歳の頃です。
少ない語彙の中で思っていることを相手に伝えるのは、幼児にとってなかなか難しいことなんですね。
「貸してほしい」「順番に使おう」などいろいろな案を、言葉にすることができません。
特に男の子は言葉を発するのが遅い傾向があり、気持ちの表現としてつい手が出てしまいがちです。
また、2~3歳の頃は、物に対する所有の意識(自分のものはどれ)がはっきりしてきます。「○○ちゃんが持っている電車で僕も遊びたい。でも○○ちゃんは僕に貸してくれない。絶対欲しい!どうしたら電車を手に入れることができるのだろう?」噛みついて、一度成功を経験してしまうと、手っ取り早いからと何度も繰り返してしまうので、早めに対処しましょう。
と考えた結果、噛みついてしまう。
【対処法】◆おもちゃの取り合いがはじまったら- 大人は子どもたちの近くに居て見守る
- すぐに仲裁に入ったり止めたりしない
◆噛む気配を感じたら、あるいは噛んでしまったら- すぐ止める(怪我をしないように、させないように注意)
- 感情的にすぐ叱らない
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子どもの手を持って、言葉で子どもの気持ちを代弁する
「Aちゃんは電車が欲しかったんだね。わかった。」
「Bちゃんは貸したくなかったんだね。わかった。」
と子どもの気持ちに共感する -
子どもにどうしたら良いのか教える
Aちゃんには「そういう時は『貸して』って言おうね。
お母さんと一緒に言ってみようね。『か・し・て!』」
と言い方の練習をする
Bちゃんには「少しだけ貸してあげようね(貸してくれるかな?)」
と聞いてみて妥協点を相談する
諦めずにこのようなやり取りを、今根気強く何回も繰り返しましょう。
繰り返していくうちに、言葉でのやりとりを覚えていき、物の取り合いでたたいたり、噛むことがなくなっていきます。「甘えたい」気持ちで噛む・たたく友だち同士、兄弟、親と子どもが、じゃれあって遊んでいるときに、噛んだりたたいたりすることもあります。
これは単にもっとかまってほしい、遊んでほしい、相手が好き、というアピールです。
【対処法】問題はないので、時間がある限りたくさんスキンシップをとって遊びましょう。
「でも乱暴なことはやめようね。」「優しくね。」と伝え、繰り返し教えましょう。ケンカのときの攻撃の気持ちで噛む・たたくお友だちや兄弟でケンカをしているとき、に噛んだりたたいたりするのは、感情が高ぶってしまい、言葉ではうまく伝えられないための行動です。
【対処法】子ども同士のケンカの体験を通して、兄弟や友だちとのかかわり方を学んでいくので、怪我のない範囲で見守ります。
◆ケンカが激しくなりエスカレートしてきたら- 「やめなさい!」と大声で叱るのではなく「優しくね」と繰り返し話して言い聞かせる
◆もし相手を噛んだりたたいたりしまったら-
特に噛むことは「癖」になるのでやめさせる
(一度噛んで、それが成功してしまうと、何度も繰り返すようになる) -
噛んでしまったとき、感情的に叱るのではなく静かに伝える
「噛まれると痛いよね。痛いのは可哀そう」
と相手の立場になって思いやる言い方で伝える -
その日のうちに、子どもと親の気持ちが落ち着いたら、じっくり考える時間を設ける
静かに、穏やかに、目を見て、手を握りながら伝える
「噛んだりたたいたりしてはいけないよね。痛いしケガをしてしまうかもしれないね。」
気持ちが高ぶっている時は「聞く耳を持たない」ものです。
でも記憶が新しいその日のうちに、落ち着いて「いけないこと」を伝えます。
これも諦めないで何度も繰り返し話しましょう。《こんなときどうする? Q&A》
友だちを噛んだり、たたいたりします。(2歳0ヶ月)自分の気持ちをどう言葉で表現すればよいのかわからないだけで、子ども自身も戸惑っているはずです。噛んだりたたいたりしてしまったことはいけないこと、相手が痛い思いをしていることを、静かに話しましょう。友だちによく噛まれたり、たたかれたりします。(2歳5ヶ月)子ども同士の中から学ぶことが多いので、見守ることも大切です。でも、いつもいつもやられる場合は、親が「痛いからやめてね」と優しく相手の子に伝え、子どもの気持ちを代弁する必要があります。
このとき、相手の子の親にもメッセージとして聞こえるように言いましょう。
遠慮をして自分の子ばかりに我慢をさせるのはよくありません。
「やめてね」と言える子になるためには、普段から気持ちを表現できるようにすることが大切です。
「ごはんがおいしいね。」「お花がきれいね。」「○○はかわいいね。」と話したり、どう思う?と問いかけて、子ども自身が気持ちを言葉に出すことを練習していきましょう。
どんちゃか幼児教室では、子どもが手をあげそうになったら、子どもの間に先生(大人)が入ります。
そして先生が「いたい・いたい」と少しおおげさに痛がります。
そしてたたかれたり、噛まれたら痛くて悲しいことを伝えます。
また、絵本やぬいぐるみを使い、たたかれた子に置き換えて理解させます。
「噛まれたり、たたかれたクマちゃん(ぬいぐるみ)は泣いているよ。どう思う?」と優しく問いかけましょう。
「かわいそう」「いけないこと」とわかってくれるので、繰り返し教えましょう。 -
テレビ・スマホ等との付き合い方(後編)
テレビ・スマホの悪い使い方
食事の時間中ずーっとテレビ・スマホを見ているこれはいけませんね。
食事のときは、テレビ・スマホは消しましょう。
画面に気を取られていたら並んだお料理に関心を持てないし、会話もなく親子の楽しいコミュニケーションもとれません。
食卓での親子の会話は、その日の出来事やニュースなどについて話す良い機会です。
子どもは両親が話すことを何気なく耳にし、興味をもったり、親の価値観を知っていく大切な時間です。
それに、画面を見ながら食事をしようとすると、どうしても斜め座りになったり、のぞき込むので、姿勢が悪くなってしまいます。テレビ・スマホを子守りがわりにして、一日中つけているこれも今すぐやめましょう。
子どもは集中して見ているようで、「ボーッと」見ていることが多く、受動的です。
子守りがわりにテレビ・スマホをずーっと見せていると脳が使われず、脳の発達が遅れる、という研究報告もあります。
◆ 続けてみるときは『1時間まで』 ◆
続きはまた別に1時間の時間を設け、終わったらスイッチは『OFF』の習慣をつけましょう。
テレビ・スマホの良い使い方
色彩豊かで、リズミカルなコンテンツは、子どもが夢を感じたり、追視力・集中力を養うのに役立ちます。
番組や動画を観ながら、家族(親子・兄弟)で、一緒に驚いたり楽しんだりすることも良い体験になります。
同じ動画を観ながら、家族でスキンシップタイムをつくりましょう。
一緒に観ることができないときは、「どうだった?おもしろかった?」などの感想を聞きましょう。
テレビ・スマホを見るときの姿勢も重要です。
飽きっぽい子ども・落ち着きのない子どもは、好きな動画を観るときは、「きちんと椅子に座ってみようね」と習慣をつけてみてください。
テレビ・スマホはダメなのではなく、ルールを守りながら上手に生活の中に取り入れて、メリハリをつけることが大切です。 -
テレビ・スマホ等との付き合い方(前編)
テレビ・スマホ あまり見せたくないけど…
どんちゃか幼児教室で保護者様から多い質問は「テレビ・スマホ等との付き合い方」です。
具体的には…- テレビ・動画が好きで、1日3~4時間観せていますが、いいのでしょうか?
- 子どもがテレビ・動画をひとりで観ている間に家事ができるので助かっているのですが、いいのでしょうか?
- テレビ・動画を観ていないのに、スイッチを切るといやがります。どうしたらいいですか?
- うちの子、ジーっと観ているので、<集中力>があると思うのですが・・・?
- ことばを覚えるのにたくさん観せています。間違っていますか?
子どもにとっても身近な存在なので、切り離すことは不可能ですね。
そこで、テレビ・スマホの良いところ悪いところ、またどのようにつきあっていったらよいのかを一緒に考えてみましょう。テレビ・スマホの良いところ・悪いところ
テレビ・スマホの悪いところ- テレビ・スマホから一方的に刺激を受け続けていると、子どもは想像力が働かず、受動的になってしまう。
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テレビ(動画)は視覚のみが優先されてしまう。
長時間動画を観ていると他の感覚器官が使用されず、運動機能や手先の巧緻性の発達に悪影響がある。
特に、スマホの小さな画面を凝視することは、発達途中の子どもの目には良くない。 - 長時間動画を観続けていると、双方向のコミュニケーションができず、言語理解や社会性の発達への悪影響がある。
- 子どもにとって害になる情報、不必要な情報が一方的に送られてしまう。
テレビ・スマホの良いところ-
幼児番組の音楽や体操で、子どものリズム感を育てるのに良い。
また、運動や歯磨き習慣などの助けになる情報がある。 - 子どもが理解できる番組は「記憶力」や「理解力」を発達させる。
- 子どもが理解できる物語を観ることによって、喜怒哀楽などの情感や共感性を育てることができる。
ルールを決めて上手に活用
テレビ・スマホは良いところ、悪いところ様々です。
各ご家庭の事情もあるので一律にこの使い方が良い、ということは言えず、やはり上手に活用することが大切ですね。
注意すべきポイントは3つ。-
長時間の視聴は悪影響しかないため、必ず時間を決めること
観おわったら必ず電源を切るようにしましょう。
参考:アメリカ小児学会は「2~5歳のスクリーンタイムは1時間まで」「2歳未満は0時間(見せないこと)」としています。日本小児科学会では、2歳以下は長時間の視聴をしないこと、としています。 -
夜は視聴しない
視聴するものの内容によっては、脳を覚醒させたり、スマホのブルーライトによって寝つきが悪くなってしまいます。 -
なるべく大人と一緒に観る
大人が用事を済ませたいとき、静かにしてほしいときなどに1人で見せることはあると思います。
たとえ子どもが1人で観ていたとしても「どんなお話だった?」と聞いたり「どう思った?」と感想を聞いて、子どもとコミュニケーションをとるようにしましょう。