「AI時代のわが子の育て方vol.1」はコチラ。
セミナーを前に川原田先生にお話を聞いてきました
聞き手
薗田隆平(理英会 広報担当)
ずばり、これからの世界はどのように変わっていくとお考えですか?
これからの世界は、人間に代わって、AIやロボットが多くの仕事をするようになると予想されています。
目を海外に向けてみましょう。
中国ではセルフレジのみの
無人コンビニが増えています。
また、代金の支払いは、QRコードを使ったアプリでの支払いが増えてきています。
ドバイでは、
空飛ぶタクシーの試験運行や空飛ぶ警察のバイクが開始されています。
今存在している仕事が、AIに奪われるのも、時間の問題なのです。
そんな時代だからこそ、
AIにはできない能力を身につけることが教育では重要なのです。
未来を生き抜く術を身につけなければなりません。
AI にはない、未来を生き抜く術とは、例えば、どんな力ですか?
まず、
考える力です。
AIはまだまだ進化途中です。
現在は、優れたAIでも、膨大なデータを機械的に処理しているにすぎないのです。
計算処理で応用がきく分野では、AIは大変優れています。
しかし、人間が持っているような経験を当てはめ、物事を考えたり、臨機応変に対応したりと、複数のことを同時にすることをAIは大変苦手にしています。
しかし、近い将来、これらのこともできるようになっていくでしょう。
ですから、AIに使われない人間、AIにできないことができる人間になるために必要な力の代表が、考える力と言えるのです。
考える力を、もう少し具体的に言い換えると、次4つの力です。
この4つの力を同時に養える教育、それが、
STEM教育なのです。
STEMの授業では実体験に即して、どうすれば問題が解決できるかということに取り組むからです。
たとえば
「コンピューターでどういう指示を出せば、ロボットは正確に動くのか」
「エラーの原因はどこにあるのか」
間違いに気付き、一つ一つ検証して、考える力。
「こうしたら、ああなるはずだ」と予測する力。
自ら考え、実践する教育。
それがSTEM教育です。
わたしは授業で、なるべく子どもたちには教えないようにしています。
子ども自身が課題を通して、
試行錯誤を繰り返すことで、考える癖を育てたいからです。
北欧はSTEM教育が盛んなのですが、デンマークでは教員を「ティーチャー」ではなく「ファシリテーター(促進役)」と呼んでいます。もはや、教員が教える授業の時代ではないのです。
川原田先生はどのような授業をしていますか?
民間企業が提供するユニークな指導として、ソフトバンクグループが2020年の小学校でのプログラミング必修化に先駆けて始めた
「Pepper 社会貢献プログラム」。
実は私が教師用指導書の監修者として関わっています。
2017年4月からスタートしたこのプログラムは、人型ロボット「Pepper(ペッパー)」を学校に貸し出して、児童・生徒の論理的思考力や問題解決力、創造力などの育成をしようというものです。
同じく2017年から始まった経済産業省主催の国際大会・
ワールドロボットサミットに、相模女子大学小学部から3チームが出場しました。
そのうちの1チーム(小学部6年生)が3位になりました。
出場した小学部6年生の子どもたちは、その後も機会があればプログラミングに取り組みたいという気持ちがとても強いです。
その中の一人の子が、小学部の造形展(図工の作品展示をする行事)の前日に「
ペッパーに造形展の会場案内をさせたい!」と言って来ました。
私が作ったペッパーのテキストを渡すと、その日の夜のうちにテキストを見ながらパソコンでプログラムを作って持って来ました。
そのプログラムですが、
ほぼ完璧でした。
ペッパーは受付での案内業務をこなすことができたのです。
子どもたちは、人型のロボットには感情が動くようなのです。
うまく動かないとペッパーに抱きついていました。
ここで紹介した子ですが、決して特別というわけではありません。
授業をきっかけにプログラミングに興味を持ち、大会に挑戦した子なのです。
そして、現在中学部の1年の生徒ですが、この秋に開催されたWRS2018の大会に出場し4位と特別賞を受賞しました。
このようにSTEM教育の授業を通し、子どもたちが
能動的に学ぶ姿勢を育てていきたいと考えています。